韓国が震撼する「MZ世代」の通り魔事件 世代が抱える閉塞感とは
日本では過去たびたび、人々が無差別に襲われる通り魔事件が起こり、社会を震撼させてきたが、韓国でもここ最近、こうした事件が相次ぎ不安が高まっている。動揺が広がるなか、模倣犯による次なる犯行を防ごうと韓国政府や警察は警戒を強めている。同時に、事件が「MZ世代」と呼ばれる若者たちの犯行であることにも世間の関心が集まっている。
◆白昼無差別に人を襲う事件が続発
1つ目の事件は7月下旬、ソウル市南部の地下鉄駅近くで白昼起こった。30代の男が刃物を振り回し通行人を無差別に刺したのである。この事件で男性1人が死亡、3人が負傷した。容疑者の男はこれまでにも少年院への入所や、傷害など前科があり「人生が嫌になり犯行を起こした。自分より弱そうな人を狙った」と供述しているという。
また、もう1つはソウル近郊の城南(ソンナム)市で、8月3日の夕方に通行人に向かって車が突っ込んだうえ、容疑者の男はさらに刃物を持って近くのデパートに侵入し、人を無差別に襲った。これによって、車に追突された60代の女性が亡くなったほか、13人も怪我を負った。この事件の容疑者の男は22歳で、元は優秀な学生であったものの希望していた難関高校に進学できずにその頃から心身を病み、自分が落ちた高校を卒業し名門大学に進学した兄へのコンプレックスを募らせていたと言われている。
いずれの事件も犯行動機の全容解明にまだ時間を要すると思われるが、身勝手な犯行と、理不尽に命を奪われたり、負傷した被害者のことを思うと、いかなる理由があっても許されることではない。
韓国では、「安全不感症」と言われるヒューマンエラーによる大型事故がたびたび起こることはあっても、このような無差別に人を襲う事件は少なかった印象がある。そのため、相次ぐ事件に韓国では衝撃が広がり、「いつか自分も巻き込まれるのではないか?」という不安の声が聞かれる。
また、これらの事件の後、各地でSNSやコミュニティサイトを通じて同様の犯行を起こすとほのめかす書き込みが多発。検挙されたその多くが「騒がせたかった」、「面白半分で書き込んだ」などという悪質ないたずらであったことにも憤りが広がり、まだまだ事件の余波は続いている。
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