フランス人はみんな夏中バカンスを楽しむ? 本当はどうなのか?
◆夏中ずっとバカンスなのか?
四半世紀前は3週間のバカンスはよくあることだった。1964年の統計でも、バカンス先の平均滞在日数が19.6日と、これを裏付けるものだ(INSEE)。だが、その後次第にバカンスの旅行期間は短くなり、今世紀に入ってからは平均10~12日で安定している(ウェスト・フランス紙)。同じころから夏以外の季節に休暇を取る人が増えており、これは、何度かに分けて短いバカンスを取る人が増加したためと考えられる。
つまり、フランス人といっても、夏の間ずっと遊んで暮らしているわけではない。ただし、フランスの労働者は、5月1日~10月31日の間に少なくとも2週間連続の有給休暇を取らなければならないとされており、それが日本とまったく異なる点だ。
◆好きなときに好きなように夏休みが取れるのか?
多くのフランス人が2週間連続で夏休みを取るとなると、同じ時期に希望者が集中しないのか? 職場や同僚への迷惑を考えることはないのか? といった疑問がわくであろう。
確かに、日本人と比べるとヨーロッパ人は個人主義だが、それでもそれなりに休暇取得にあたっては周りへの配慮が必要とされている。フランスで7~8月のうち休みを取りたがる人が最も多いのは8月前半だ。競争率の高い期間の休みを誰に許可するのか、マネージャーには公平な判断が期待されている。
子供がいれば学校の休みの期間と合わせる必要があるし、離婚した片親家庭となるとその期間はさらに制限される。そのほか病気の家族がいるとか親戚の結婚式があるとか、それぞれの家庭の事情を考慮する必要があるのはフランスも同様だ。
フィガロ紙(7/11)は、バカンス期間の希望が通るか否かで同僚同士の間に亀裂ができないよう、マネージャー向けにいくつかの案を授けている。曰く、クリスマス休暇で希望通りの休みを取れた人には、夏休みに関しては第二希望に甘んじてもらうとか、夏季の出社はオフィスを広々と使え、閑散期ならではの解放感があることを部下に強調するとかといったものだ。こうした機微をしたためる記事が出るあたり、フランス人にとっても、社員の夏休みの割り振りは、決して簡単なものではないと言えよう。
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