飢餓人口が7.35億人に増加 30年の「飢餓ゼロ」は困難に 国連報告
世界人口80億人のうち7億3500万人が飢餓に直面している。異常気象による自然災害や紛争という突発的な原因に加えて、農産物があっても不公平な貿易システムや経済格差などの慢性的な原因が食料不安に拍車をかけている。国連5機関が発表した世界の食料不安に関する最新の報告書によると、2030年の状況は……。
◆アフリカ5人中1人が飢餓 深刻な状況
国連は12日、世界の食料安全保障について悲観的なニュースを発表した。2022年に24億人が持続的に食料を入手できない状態になり、7億3500万人もの人々が飢餓に直面し、1億4800万人の子供たちが発育阻害に陥ったという。
国連の5機関、国連児童基金(UNICEF)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)は、2023年度「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書を公表した。その報告書によると、2022年に世界で食料飢饉に直面した推定人数は、パンデミックや度重なる異常気象による自然災害、ウクライナ戦争などの紛争の影響で7億3500万人に達し、コロナ禍前の2019年より1億2200万人増加した。
2021年から2022年にかけて世界の飢餓人口は停滞したものの、多くの場所が深刻化する食料危機に直面していると指摘した。飢餓はアジアやラテンアメリカで減少しているが、西アジア、カリブ海諸国、アフリカでは増え続けている。特にアフリカは5人中1人が飢餓状態にある最も被害が拡大している地域で、その割合は世界平均の2倍を超えている。
食料安全保障と栄養の状況は、2022年も厳しいままだった。世界人口の約29.6%(24億人に相当)が、中程度または重度の食料不安にあり、食料を持続的に入手できない。そのなかで、約9億人が深刻な食料不安に直面している。
また、5歳未満の数百万人以上の子供が栄養失調に継続的に陥っている。2022年に5歳未満の子供1億4800万人(22.3%)が発育阻害の状態で、4500万人(6.8%)が消耗症(最も命を落とすリスクが高い)に陥り、3700万人(5.6%)が過体重だった。
FAOの屈冬玉事務局長は「(略)気候変動や紛争、経済不安が食料安全を遠ざけているという現状が我々のニューノーマルなのです」と説明する。
FAOチーム・エコノミストのマキシモ・トレロ氏は、FAOの食料価格指数は約15ヶ月間減少しているが、食料インフレは続いていると述べた。今月17日に有効期限を迎えた黒海を通じたウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」が延長されなければ、食料価格の「新たな高騰が確実に起きる」と見解を示した。(AP、7/13)
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