酔っ払い鹿が出没…フランスの「春ならではの危険」

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◆酔っ払う鹿
 中毒とは異なるが、春ならではの現象として、酔っ払った鹿と車道で出くわす事故についても毎年注意喚起される。

オワーズ県の消防署による注意喚起ツイート

 なぜ鹿が酔っ払うのか? それは鹿が春の新芽を好んで食べることに起因する。糖分が豊富に含まれる新芽が体内で発酵し、いわば自家製アルコールとなって、鹿を酔わせてしまうのだ。酔っ払った鹿は、普段なら避けて通る人家や車道に接近したり、予測不能な走り方をすることがあるため、事故の原因となりやすい。

 実際、2022年4月にユール県において、酔っ払った小型のノロジカがセーヌ川を泳いで渡り、町中に侵入して、病院の駐車場で捕獲される騒ぎも起きている。

 実は、筆者もこれまでに2度、鹿に車の目の前スレスレを横切られたり、驚くほど近くを伴走されたことがある。いずれも春のことだった。もしかしたらあの鹿たちも酔っ払っていたのかもしれないと、今にして思い返している。

Text by 冠ゆき