褒め言葉でも侮辱でもある、アメリカ人にとっての「woke」とは?

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◆wokeは褒め言葉か侮辱か
 調査では、「woke」は褒め言葉と侮辱する言葉のどちらであるかも尋ねており、全回答者の40%は侮辱とし、32%は褒め言葉だとしていた。共和党支持者では60%が侮辱と見なしているのに対し、民主党支持者では25%だった。褒め言葉と答えたのは共和党支持者では14%だったが、民主党支持者では46%いた。

 年齢別でみると、18~34歳(43%)は上の世代よりも褒め言葉として捉える傾向が強かった。ちなみに65歳以上では、38%が「woke」の意味自体がわからないと回答していた。調査からは、「woke」のイメージは支持政党や年齢で異なることがわかった。

◆woke潰しに忙しい右派 扇動の効果は?
 実は米右派は、続く奴隷制度の影響からジェンダー平等な代名詞の使用まで、あらゆることに反対を表明する文化戦争の掛け声として「woke」を採用しているとUSAトゥデイ紙は指摘する。

 昨年11月にフロリダ州知事として2期目の当選を果たし、2024年の大統領選の共和党の有力候補にあげられるロン・デサンティス氏は、「我々は絶対にwoke集団には屈しない」と宣言。サウスカロライナ州のティム・スコット上院議員は、黒人である自分に人種差別がいかに影響を与えたかを語るが、「woke」な企業や検察官は、アメリカにおける負の勢力だと述べている。

 ローリング・ストーン誌によれば、企業やブランドがリベラルや進歩的な価値観に沿う動きを見ると、右派は「get woke, go broke(wokeになって、破綻せよ、または評判を落とせ)」と叫び、不買運動を呼びかける。潰しにかかる右派の犠牲になる企業もあって不思議ではないが、現状は不買運動が業績に大きな影響を与えることはないという。ユナイティッド航空、ディズニー、ナイキ、アマゾン、ケロッグなど、右派のターゲットにされた企業の業績は軒並み好調で、いずれも「woke」で破綻する結果には至っていないと同誌は指摘している。

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 「woke」には確かに「意識高い系の面倒な人」といったようなネガティブなイメージもあるが、若くリベラルな世代にはより肯定的に捉えられていることもあり、分断を決定づけるほどの力はないようだ。

Text by 山川 真智子