褒め言葉でも侮辱でもある、アメリカ人にとっての「woke」とは?

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 英語で「woke」は、社会的不公正に積極的に注意を払っている人を指す言葉だ。しかし最近アメリカで行われた世論調査では、人によってその意味の捉え方がかなり違っていることがわかった。特に世代や支持政党により違いは顕著に表れており、分断をあおる道具にも使われている。

◆人種的抑圧に対抗 黒人に呼びかけた言葉
 USAトゥデイ紙によれば、「woke」は世界中の黒人に対し、人種的抑圧に「目覚める」ことを求める言葉として、一般的に20世紀初頭に使われた言葉だという。2014年にミズーリ州ファーガソンで、黒人青年が白人警官により射殺された事件の後、この言葉は人種差別と組織的抑圧が今でも続いていることへの認識を表す言葉として、より広く使われるようになった。現在では、社会的不公正に理解がある人という意味で使われていると世論調査会社IPSOSは説明している。

 USAトゥデイとIPSOSの最近の世論調査では、「woke」の意味について全回答者の56%が「社会的不公正について知っており、それについて学び、意識していること」を選んでいた。特に民主党支持者では、そう答えた人が78%と多かった。

 一方、全体の39%は「過度に政治的に正しく、他人の言葉を取り締まること」だと理解しており、共和党支持者では56%がそう答えていた。また、年齢別に見ると、50~64歳の48%が「過度に政治的に正しい」と答えており、18~34歳(33%)、35~49歳(37%)よりも高かった。

Text by 山川 真智子