米テネシー州でドラァグショー規制法が成立 保守州で規制の動き

テネシー州のドラァグショー規制に抗議する慈善コンサート「ラブ・ライジング」(ナッシュビル、3月20日)|Photo by Ed Rode / Invision / AP

◆ペロシ氏はドラァグクイーン全面支持
 NBCニュースによると、現在そのような法律がないフロリダ州でも、ロン・デサンティス州知事が昨年12月27日、同州マイアミのハイアットリージェンシー・マイアミで「ドラァグクイーン・クリスマス」というドラァグクイーンショーが子供のいる席で開催されたことを理由に、同ホテルの酒類販売免許を取り消すよう同州当局に申し立てたという。記事によると、現在フロリダ州を含む16州でドラァグクイーンのパフォーマンスを何らかの形で規制する法案が提出されているという。

 しかしドラァグクイーンたちもこのように差別的な法に対しておとなしくしているわけではない。ドラァグクイーン界で最も有名であるエンターテイナーのル・ポールはインスタグラムで、「私たちはいじめっ子が真の問題を解決するには無能であることを知っている」「スタントクイーン(共和党政治家)を議員オフィスから追い出すために、有権者登録をしよう」と呼びかけている。ル・ポールの番組『ル・ポールのドラァグレース』には、前下院議長のナンシー・ペロシ下院議員も昨年ゲスト出演したことがある。ペロシ氏はその際に、「ドラァグクイーンという表現の自由こそがアメリカのあるべき姿」として全面的な支持を表明した。

 ドラァグクイーンの女装はこれまで当然のように憲法上の「表現の自由」の一部とみなされていた。しかしここに来て保守派がその解釈に挑戦しようとしている。今後は「ドラァグクイーンが女装する権利」をめぐり、多くの共和党州で権利を守るための訴訟が起こることが予想される。

Text by 川島 実佳