日本から来た山菜と戦うイギリス 驚異の繁殖力・生命力を前に悪戦苦闘
◆19世紀の観賞用植物が厄介者に
イギリスでは本島のグレートブリテン島をはじめ、北部アイルランドにも繁殖が広がっている。デイリー・メール紙が掲載しているマップによると、主にロンドンを取り巻くように南部で非常に多く広がっているようだ。同紙によるとイタドリはビクトリア朝時代、庭園での観賞用や土壌の安定のために持ち込まれた。現在では、確認されているだけで5万株以上が自生する。
英語ではジャパニーズ・ノットウィードと呼ばれ、駆除しにくい厄介な植物とみなされている。英BBCは、1日に10センチも成長することがあり、最大で背丈が3メートルにもなる成長の早い低木として紹介している。15世紀の植民地時代以来、およそ1万3000の外来種が世界に拡散したが、イタドリはそのなかでも最も手に負えない部類に入るとみなされているという。
◆完全除去には深さ3メートル分の土壌入れ替え
デイリー・メール紙はイギリスでの状況を、アジアにも増して深刻だと指摘する。アジアでは防除作用のある菌類や昆虫がある程度繁殖を抑えているが、もともとイタドリが存在しなかったイギリスには、このようなバランスを保つ機構が自然界に存在しない。
完全な除去は一大プロジェクトとなる。BBCは「少なくとも3メートル(10フィート)の深さまで掘り、まるで放射能汚染されたかのように、そのすべてを処分することになる」と述べている。イギリスの研究によると、イタドリはその根の一部がわずか0.3グラムでも土壌に残っていれば、何度でも繰り返し繁殖する。除去に成功したように見えても、20年後になってぶり返すことすらあるという。
日本でも目にする機会の多い雑草だが、問題の根は深いようだ。
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