なぜ男性は心の問題に1人で闘うのか? 「二重の危機」に苦しむことに

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◆セラピーを避けることは「二重の危機」
 男性で問題が深刻になりがちな理由の一つに、カウンセリングやセラピーなど必要な助けを求めない傾向が挙げられる。NYT紙は、男性の方がセラピーを受けない傾向にあり、男らしくありたいという思いからセラピーを避ける人が少なくないと報じている。うつ病の罹患率の高さと合わせ、ある専門家は「男性の二重の危機」だと指摘している。

 健康・安全に関するソリューションを提供しているインターナショナルSOS社のロドリゴ・ロドリゲス・フェルナンデス博士は、ヒューマンリソース・ディレクター誌に対し、「男性が病気に関して恥ずかしさを感じたり、病気を弱みと捉えたりするという理由で、自分の健康上の不安を口にしないことが多いのです」と説明している。男性はメンタルヘルスの問題をより経験しがちだが、仏調査会社のイプソスによると、女性よりも問題を打ち明ける割合が低い。女性の57%が打ち明けるのに対し、男性では43%との調査結果が出ている。

◆セラピーをポジティブ意識で捉え直す
 こうしたことから、職場で特に男性のメンタルヘルスの状態に気を配ることが重要だと考えられるようになってきた。ヒューマンリソース・ディレクター誌によると、インターナショナルSOSは企業側に対し、健康診断の実施、匿名相談の開設、管理職に対する早期発見トレーニングの実施などを提言している。

 もしも働くなかでメンタルに不安を覚えたら、躊躇せずに専門家に相談してみると道が開けやすいようだ。米心理学会のアーサー・エヴァンス・ジュニア最高責任者はNYT紙に対し、たとえばセラピーを、より強くなったり健康になったりする機会だと捉えることで、気後れせず相談しやすくなるはずだと提言している。

 誰にでも多少落ち込む日はあるものだが、メンタルの不調が長く続くようなら、早めの相談が解決への近道となりそうだ。

Text by 青葉やまと