戻って来たドイツのクリスマスマーケット…込み上げた「感謝」の気持ち

ミュンヘン市庁舎前のクリスマスマーケット(12月19日)

◆2度目の受難:新型コロナ規制
 そんな危険なイメージを払拭しようとしていた矢先、今度は新型コロナウイルスの出現で、またもやクリスマスマーケットは閉鎖された。なかにはミュンヘンのように小屋は建てたものの、開催見合わせの政府決定を受けて、1度も開けずに解体せざるを得なかったマーケットも多い。開催されても飲食なし、マスク着用などと制約が多く、本来の心躍るクリスマスマーケットとは程遠いものだった。

◆今年の様子
 マスク着用義務が完全撤廃されているスイスでは、ようやく新型コロナ流行前のようなマーケットが賑わいを見せている。エネルギー危機への対策のため、クリスマスイルミネーションも例年より短縮されているが、街に華やぎを与えている。

チューリッヒ歌劇場から撮影したセクセロイテン広場のクリマスマーケット(12月15日)

 12月10日から公共交通機関内のマスク着用義務が廃止されたバイエルン州の州都ミュンヘンでは、3年ぶりの賑わいが信じらないほどだった。

ツリーの飾りも沢山売られていて、店自体がクリスマスツリーのよう

 ツリーの飾りも沢山売られていて、店自体がクリスマスツリーのようだ

 ミュンヘンで有名な「オクトーバーフェスト」後は感染者が激増して批判を浴びたが、クリスマスマーケットは大変な混みようで、大丈夫なのかと心配ではある。

カウフィンガー通りを埋める人混みは例年並みに戻っており、非常に密集している

 現にフランクフルトなどでは、出店料を払ったにもかかわらず、「病気のため開店できません」という張り紙をした店が目立つという。新型コロナ感染者は着実に増え始めているようだ。

 それでも、クリスマスマーケットを散策すると、不思議な幸福感に包まれる。今までは、マーケットの周りの人混みに自分の歩みを遮られたりして、クリスマスマーケットを邪魔に思うこともあったが、2度の中止を経験した後は微笑ましく見守り、感謝の念が込み上げてくるようになった。人は些細な幸せに気づくと優しくなれるものだ。「恵みの時期」であるクリスマス・年末は、大切な人や平和を失った人々が少しでも救われるように、また今ある幸せを少しでも分かち合うために、自分たちに何ができるかを考えながら過ごしたい。

チューリッヒのクリスマス村入り口

在外ジャーナリスト協会会員 中東生取材
※本記事は在外ジャーナリスト協会の協力により作成しています。

Text by 中 東生