検閲で「白」にする中国当局、「白紙」で反発する民衆 「ゼロコロナ」抗議デモ白熱
◆ウルムチの火災犠牲者追悼
そのようななか、24日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市の住宅で火災が発生。隔離政策のせいで、消防の対応が遅れ、10人の死亡者を出した。このウルムチ市の火災事故は、コップからあふれそうになっていた国民の不満の上に最後の一滴をもたらした。26日と27日には火災犠牲者を悼む集会のために中国各地で人々が集まった。静かな追悼に終始した人もいたようだが、ゼロコロナ政策への不満の声は否応なく高まった。場所によっては、民主主義と表現の自由を要望し、習近平に辞任を求め、共産党を批判する声まで聞かれた。(20minutes紙、11/27)
これらの集会の呼びかけや抗議の声はすべて早々に中国当局の検閲対象となり、ネット上から消されてしまった。たとえば、26日に上海のウルムチ通りで予定されている集会の呼びかけは、今クリックしても「見ることができません」と書かれた白いページが浮かぶだけだ。
◆検閲を避け、検閲を批判する「白い紙」
この状況で瞬く間に広まったのが検閲を避ける手段だ。人々は婉曲表現を使うなど、さまざまな工夫を凝らして投稿に臨むようになった。たとえば「上海はすばらしい」とだけ書かれた投稿をクリックすると、真っ白な文字のないページが表示される。この「文字の書いていない白い紙」は、追悼の「白い花」とあわせて、今回の抗議運動において象徴として用いられるようになっている。つまりそれが表すのは、検閲、取り締まりへの抗議だ。実際、何もスローガンを書いていない紙を持っているだけで、当局も人々を逮捕するわけにはいかないだろう。週末は、北京の精華大学の学生デモでも、上海のデモでも白い紙と白い花を持った人が多く認められた(20minutes紙)。
日本やイギリスにいる中国人留学生らも、週末にロンドンの中国大使館前や新宿などで抗議デモを行ったが、同じように白い紙を掲げていた(自由亜州電台ツイート、11/28)。