暑くなるとSNSのヘイトスピーチ増加 気候変動に影響される人間の行動

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 産業革命以降、地球の気温は約1.1度上昇しており、世界中であらゆる種類の異常気象が起きている。今夏、干ばつと熱波がヨーロッパ、中国、米国を襲った。「自然は人間を必要としないが、人間は自然を必要とする」と言われるように、自然は人間がいなくても地球に存在し続けるが、人間は自然がないと地球で生きていくことはできない。気候変動が切実な問題として捉えられるようになって以降、健康や食事、住居に関する危機は感じることはできても、私たちの言動にも影響があるとは考えられていない。そのようななか、「気候変動がオンラインでの怒りを増加させる」という興味深い研究が発表された。

◆気候変動が人々を怒りっぽくさせる?
 ポツダム気候影響研究所(PIK)が9月に発表した研究によると、気温が30度を超えると、ソーシャルメディアには憎悪に満ちたコメントが急増するという。「気温が高すぎたり低すぎたりすると、社会経済的な違い、宗教、政治的信念に関係なく、オンラインでのヘイトスピーチが増加することがわかった」と研究の筆頭著者のステケメッサー氏は述べている(ブルームバーグ)。研究グループは、2014年から2020年の間に米国ユーザーから投稿された40億件のツイートサンプルを分析した。人工知能を使用し、国連のオンラインヘイトの定義を用いて、人種差別、ミソジニー(女性嫌悪)、同性愛嫌悪を含む約7500万件の英語のヘイトコメントを特定した。次に、局所的な気温が上昇または下降したときにツイート数がどのように変化したかを分析した。

 研究者は、最高気温が21度を超えるとオンラインのヘイトスピーチが増加することを発見した。21度は心地よい気温である。暑い時期のヘイトスピーチは、穏やかな天候の時期の平均と比較して、22%も増加した。米国のどの気候帯、社会経済地域でも、気温30度を超えるとオンラインでの緊張がさらに高まった。テキサス州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、カリフォルニア州の一部など、暑くて乾燥した気候の地域では、気温が42〜45度に達したとき、気温が21度のときと比べて、オンラインのヘイトスピーチは24%も増加した。同じ研究者が昨年ヨーロッパに焦点を当てて行った研究でも同様の結果が出た。

 暑さとネット上での憎悪との直接的な関係は中国での研究でもみられた。中国最大のマイクロブログのプラットフォームである微博(ウェイボ)に投稿された4300万人のユーザーのサンプルから4億件を超えるツイートを分析した結果、35度を超える気温、雨、強い風速、曇り空、大気汚染のすべてが人々をオンラインで不機嫌にさせることがわかった。

Text by sayaka ishida