保守州カンザス、住民投票で中絶禁止に「ノー」 バイデン政権に追い風
◆中絶の権利を連邦法化する動きも
これはここ数ヶ月間支持率が低迷していたバイデン大統領と民主党にとって追い風となった。この追い風が続けば、11月の中間選挙も中絶の権利を前面に押し出して上下院とも過半数を獲得できる可能性も出てきた。過去数ヶ月間、世論調査で共和党にリードされることが多かったが、ここ5週間ほどガソリン価格が下降を続けていることも助けになり、今月に入って民主党が巻き返しており、7月30日~8月2日実施のエコノミスト・YouGov世論調査では共和党を5ポイントリードしている。
NBCニュースによると、バイデン氏は翌3日、「共和党は全国的に中絶を禁止しようとしている」として、女性たちが州境を越えて中絶手術を受けることを補助するための大統領令を発令。また司法省は2日、25日に施行予定のアイダホ州の中絶禁止法の一部が連邦法に違反しているとして提訴した。
アメリカでは中絶の権利をめぐる闘いがしばらく続きそうだが、一方でロー対ウェイドの判決を法律化する動きも出てきている。ティム・ケイン上院議員(民主)のウェブサイトによると、民主党と、中絶の権利を支持する共和党の一部議員が「生殖の自由」の権利を守る新しい法案を提出した。この法案が通過すれば、居住州にかかわらずアメリカ国内に住む女性たちの中絶の権利が保障され、最高裁の判決がほぼ無効になる可能性もあるだろう。
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