延命めぐり病院と親が法廷闘争 英12歳少年、生命維持装置停止で死去

Hollie Dance via AP

 イギリスの12歳少年の生命維持装置が停止され、少年は8月6日に息を引き取った。息子が生死の瀬戸際を彷徨う一大事のなか、両親はイギリスの司法制度に翻弄され、心労を重ねた。

◆延命の是非をめぐり法廷闘争へ
 アーチー・バターズビー君は今年4月、ネットで流行している「窒息チャレンジ」を試した模様だ。首に紐が巻きついた状態で意識を失っているところを母親が発見し、英王立ロンドン病院で延命措置を受けていた。だが、病院側は回復の見込みがないとして、生命維持装置を停止する指針を示すようになった。両親は延命治療を望んでいた。

 イギリスでは、子供の治療方針をめぐり両親と医師が見解を異にした場合、裁判所に判断が委ねられる。両親はわずか1週間のうちに3つの裁判所で病院側と法廷闘争を繰り広げたが、生命維持装置の停止撤回命令を引き出すことができなかった。法的に脳死と断定するデータは得られていなかったものの、裁判所はアーチー君が回復する見込みがないことを認め、生命維持装置の停止を認めた。両親はまた、アーチー君をホスピスに移すよう病院側に求めたが、医師らは移動による悪化リスクがあるとして拒否していた。

Text by 青葉やまと