アフリカ英語を追加していく「英語の権威」辞典 現地語由来の単語も

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 英語辞書の権威的存在であるオックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary:OED)が先日、東アフリカ各国で使われている「東アフリカ英語」の主要単語の追加を発表した。辞書は最近、南アフリカやナイジェリアなどの英単語の追加なども行っている。その詳細とは。

◆東アフリカ英語の200単語追加
 四半期に1度行われるOEDのアップデート。今回の6月のアップデートでは200近くの東アフリカ英語の単語に関する新規および更新のエントリーがあったとOEDは発表した。これらの単語は東アフリカの元英国植民地で、いまも英語が広く使われているケニア、タンザニア、ウガンダで主に使われている、もしくはその3ヶ国のみでしか使われていないものだ。これらの3ヶ国には、旧英国植民地や英語圏というだけではなく、スワヒリ語という共通点もある。実際、今回のOEDエントリーには、英語として使われるようになったスワヒリ語由来の単語が少なからず含まれている。バントゥー系の言語であるスワヒリ語は、アラビア語に大きく影響を受けている。スワヒリ語という言葉自体も「沿岸のもの」を意味するアラビア語の複数形であるsawāḥilīに由来する。

 今回OEDに追加されたスワヒリ語由来のものを含め東アフリカ英語は、現地の衣食住・建築環境など、文化的要素を表すものが多く含まれる。たとえば、カンガ(kanga)は日常生活のさまざまな場面で使われる、色柄豊かなプリントが特徴的である正方形または長方形の大判綿布だ。食では、スナックや主食として日常的に食されている薄いナンのようなパンのチャパティの愛称であるチャポ(chapo)や、揚ドーナツのマンダジ(mandazi)、東アフリカ版のバーベキュー肉料理であるニャマ・チョマ(nyama choma)などがエントリー。ほかにもタンザニアでポピュラーな音楽スタイルを表すボンゴ・フラバ(Bongo Flava)やシンゲリ(singeli)がエントリーした。ケニアでは、若者が牽引するアーバン・カルチャーを象徴するスラング的な言語として、主に英語とスワヒリ語をミックスしたシェン(sheng)が普及している。スワヒリ(swahili)と英語(English)の造語であるシェンは、1985年にナイロビの『スタンダード(Standard)』紙に登場。約40年の時を経て、OEDに追加されることとなった。

 ケニヤッタ大学の言語学者チェゲ・ギチオラ(Chege Githiora)は、今回の語彙の追加は、拡大しつつあるスワヒリ語のグローバル言語としての存在感、およびスワヒリ語が体現する東アフリカ文化が、英語に認識された例であるとクオーツにコメントしている。

Text by MAKI NAKATA