麻薬取引で死刑に シンガポールの厳しい制度を人権団体が批判

マレーシア人死刑囚の刑執行に反対する人々(クアラルンプール、4月26日)|Seth Akmal / Shutterstock.com

 シンガポールで、厳しい薬物乱用法のもと有罪となり死刑判決を受けた人々の刑が次々と執行されている。これらの人々への減刑を求め、さらには死刑執行の停止や廃止を訴えてきた人権団体などが反発しているが、シンガポール政府は政策の正しさを主張している。

◆薬物取引に対し厳罰 国際的な流れに逆行
 CNNによれば、ヘロインの所持と取引で有罪となったシンガポール人と、ヘロインの取引をするよう勧誘した罪で有罪となったマレーシア人の死刑執行が7月7日に行われた。シンガポールでは一定量の薬物、たとえばヘロイン15グラムを売買すると、薬物乱用法により強制的に死刑が宣告される(ただし最近の法改正で、有罪となっても一定の条件下で死刑を免れることが可能となった)。

 シンガポールは新型コロナウイルスのパンデミックで2年間以上死刑執行を停止していたが、今年になってすでに4人の死刑を執行した。全員が薬物犯罪で有罪となった人々だ。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、薬物関連犯罪での死刑再開は国民の反対を無視するもので、死刑廃止に向けた世界的な流れにも反すると批判。死刑は決して解決策ではなく、犯罪に対する独自の抑止力になるという証拠はないと主張している。

Text by 山川 真智子