第7波の仏、マスクは「義務」ではなく「推奨」 人々は着用するのか?

パリの地下鉄(6月30日)|Michel Euler / AP Photo

 新型コロナウイルス感染のパンデミック宣言から2年を過ぎ、フランスでは7月31日に衛生緊急事態が終わりとなる予定だ。それに合わせ、感染防止を目的とする制限策も次々に解除されてきた。たとえば、電車やバス、飛行機の中でのマスク着用義務も5月16日に解除されたところだ。

 だが、その一方で、新規感染者の増加傾向は加速しており、再び危機感を持ち始めた政府はマスク着用を「推奨」すると発言。その効果のほどは?

◆感染者、入院患者、死者ともに増加
 フランスの新規感染者は、5月末には1日平均2万人まで減ったが、6月30日には13万人3346人を記録。感染者の増加に続いて、入院患者も増加。7月に入ってからは死者も増加に転じた。同国で現在最も優勢なのはオミクロン株のBA.5系統で59%を占め、すでにBA.2系統(21%)に取って代わった形だ(トップ・サンテ、7/2)。

 これは、ヨーロッパ全体の傾向と合致している。欧州では5月末には1日の感染者数が約15万人前後だったのが6月最終週には50万人に近づいており、世界保健機関(WHO)のヨーロッパ地域ディレクター、ハンス・クルーゲ氏は、ヨーロッパ各国の制限解除が一因だという見解を示している(フィガロ、6/30)。

Text by 冠ゆき