米、子供の「大麻菓子」誤食が多発 1歳児が搬送された事故も

大麻成分入りのグミ|ZaneBolen / Wikimedia Commons

 成人による娯楽用大麻の合法化が進むアメリカでいま、大麻成分入りの菓子やドリンクを誤飲・誤食する子供の事故が急増している。子供たちが手にする大麻成分入り菓子は、人気ブランドのパッケージから形までそっくり同じで、判別するのが難しい。こうした違法製造された大麻入り菓子を法律で規制する動きもあるが、果たして子供たちを甘い誘惑から守ることはできるのだろうか?

◆大麻成分入りスナック菓子の誤食事故急増 1歳児も異常行動に
 東部バージニア州スタフォードで今年3月、1歳児3人が異常行動を起こし、病院の救急センターに相次いで搬送された。原因は、3人が通う認可保育園で食べたクラッカーにあった。子供たちに人気の金魚の形をしたクラッカーに、大麻成分で向精神作用のあるテトラヒドロカンナビノール(THC)が検出されたのだ。認可保育園の園長は逮捕され、同園は閉園した。(WRIC、4月15 日)

 オハイオ州アーリントン市でも4月、11歳の小学生5人が学校でキャンディを食べた直後に幻覚を訴え、病院へ搬送された。同キャンディは、女児1人が父親が自宅で保管しているグミを大麻成分入りだと知らずに学校へ持ち込んだことが判明した。グミに含まれていたTHCは50ミリグラム、成人一日の最大摂取量だ。(コロンバス・ディスパッチ、6月14日)

 こうした事故は氷山の一角に過ぎない。アメリカ食品医薬品局(FDA)の6月16日付の発表によると、アメリカ中毒管理センターに21年1月1日から22年5月末までに届いたTHC含有食品の事故報告件数は1万448件に達し、19歳以下の子供が被害を受けた事故は全体の77%を占めた。

 また、アメリカ・アディクションセンターの2020年1月付調査によると、20年中大麻成分入り菓子製品を摂取した子供の年齢層では、乳児3歳から5歳までが事故のリスクが最も高いことがわかった。主に、成人による嗜好用大麻使用を合法化した18州と首都ワシントンDCで、子供たちによる大麻成分含有の菓子やドリンクの誤飲・誤食事故が多発している。

Text by 中沢弘子