男性に「ハゲ」と言うのはセクハラ、英審判所 「女性の胸への言及と同じ」

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◆ハラスメントを認定 不当解雇も認められる
 フィン氏は工場を解雇された後、雇用主を相手取り雇用審判所に申し立てを行う。争点となったのは、責任者の発言が単なる侮辱なのか、それともハラスメントに該当するのかという点だ。判決は、男性の侮辱を意図して「ハゲ」と呼ぶことはセクハラであると認定した。インデペンデント紙によると、自らも薄毛に悩む3人のパネルメンバーが審理を行った。

 判決はさらに踏み込み、不当解雇を認めた。フィン氏は口論の顛末について警察に正式に申し立てを行っている。職場の上司はこの行動を脅迫だと非難し、2日後にフィン氏を解雇した。英メトロ紙(5月12日)によると、判決は会社側が警察の仲裁を待つべきだったと指摘し、解雇は不当だったとするフィン氏の主張を支持した。

◆薄毛指摘は女性の胸へのコメントと類似
 薄毛自体は男女ともに起こり得る現象だが、審判所パネルは「ハゲ」との侮辱がセクハラに該当すると判断した。メトロ紙によると、パネルは「我々の裁定は、『ハゲ』という言葉と性的な保護特性(差別事由)のあいだに関連を認める」「(会社側の弁護士は)男性だけでなく女性も薄毛になる可能性があると主張しており、これは正しい主張だ。しかし、パネルメンバーの3名は、薄毛は女性よりも男性のあいだでより広くまん延していると確信している」「性別と切り離せない関係にあることを認める」とコメントしている。

 インデペンデント紙によると、審判所パネルは「職場における男性の薄毛への言及は、女性の胸のサイズについて発言することと同等である」とも指摘している。過去の判例では、胸の外見に言及を受ける機会が女性の方が多いことを理由として、胸のサイズに関する発言がセクハラと認定された。そのため、男性に多い薄毛への言及も、男性に対する差別発言として認められるとの見解のようだ。

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Text by 青葉やまと