魅力的な顔の人は免疫力が高い 米研究

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◆魅力的な人は免疫力も高い
 その結果、顔が魅力的だと評価された人々は大腸菌ファゴサイトーシス(貪食作用)の値が高いことがわかった。貪食とは、白血球が細菌などを取り込むシステムのことで、体内に侵入した異物は貪食により除去される。反面、貪食に不可欠な好中球の数はこれらの人々では少なかった。このことから、「彼らの白血球は病原体と戦う機能においてとくに効率的である」(ニューサイエンティスト誌)と考えられる。つまり、より魅力的な顔をしている人ほど、より高い免疫力を持つということだ。

 言い換えると、ヒトは免疫力が高く健康な人の顔立ちにより魅力を感じるということで、それはなぜか? 研究によれば、これまで顔の魅力と健康の関係を調べてきた多くの研究者は、この理由を「病原体を回避するため」であると考えてきた。つまり「感染症の人との接触を避ける」ために、より健康な人が魅力的に見えるようになっているのだと考えてきたのだ。だが実際は「高機能な免疫を持つパートナーを選ぶのに大きな役割を果たしている可能性」があるという。それを示唆するのが、やはり今回の研究で明らかになった、ナチュラルキラー細胞機能に関する男女差だ。

◆男女で相関性に正負の違い
 ナチュラルキラー細胞はウイルスやがんと戦うのに役立つものだ。その機能が高い方が免疫力も高いといえる。実際、今回の実験結果によれば、女性は高機能なナチュラルキラー細胞をもつ男性をより魅力的だと見ている。ところが男性はその逆で、ナチュラルキラー細胞のレベルが低い女性を、より魅力的だと感じるのだ。

 これは、女性においては「ナチュラルキラー細胞の活動が、エストロゲンレベルの低下、妊娠の可能性の低下、さらに流産発生率の上昇と結びついている」ことと無関係ではないと考えられる。免疫力の高さよりも子孫を残せる可能性の高さの方が優先されるということだ。

「美」の基準が時代や文化によって変化してきたことは周知の事実で、いたって主観的なものだと世間一般には考えられている。だがこの研究結果によれば、私たちの「目」は「子孫をいかに残すか」という基準で、他人の容貌を評価している可能性が高い。自分の目が無意識のうちに他人の免疫力を測っていることを恐ろしいと思うか、頼もしいと思うか。あなたはどちらだろうか?

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Text by 冠ゆき