感覚過敏の人に優しく、店舗の照明・音を抑制「クワイエット・アワー」広がる

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 2017年にアングロサクソン系の国で始まったクワイエットアワーの試みは、徐々にその他の国々にも広がっている。

◆クワイエットアワーとは?
 クワイエットアワーとは、発達障害などが理由で感覚過敏を持つ人に配慮し、商業施設などで照明を暗くしたりアナウンスや音楽を止めたりする時間を設ける試みのことだ。2017年にイギリスやオーストラリアのスーパーマーケットなどが一部地域の店舗に限って始めた試みで、その後ニュージーランドやカナダへも波及した。

 英語圏外では、フランスで2019年にUグループスーパーが始め、2021年には大手カルフールも乗り出した。近い将来には、同じく大手のオーシャンや衣料品チェーン店キアビも導入を予定している。(フランス3、1/26)

◆スーパーがストレスとなる理由
 では、感覚過敏の特徴を持つ人にとって、スーパーマーケットは何故ストレスの原因となるのか?

 自閉症の幼児を持つフランスのベネール・スタマトゥさんは、通常のスーパーでの買い物時に起こり得る状況を次のように説明している。「突然鳴る音は、集中力を妨げ、ストレスを引き起こす可能性があります。こういうとき、自閉症の人は耳を両手で塞ぎ、突如として自分がどこにいるのかわからなくなってしまうのです。そうして、いきなり走り出してしまったり、その場に凍りついて動けなくなってしまったりするのです」。(フランス3)

 そのため、BGMが流されず、緊急時以外のアナウンスやレジスキャンのビープ音が消され、照明ランプが半分しか灯されないクワイエットアワーは、感覚過敏を持つ人やその家族にとって、買い物に集中できる貴重な機会なのだ。

Text by 冠ゆき