英公共放送の受信料廃止か 担当大臣が示唆

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 イギリスではテレビライセンス料と呼ばれる公共放送を視聴するための支払いが義務付けられており、実質的にはBBCの運営に使われている。日本のNHKの受信料制度と同様の位置づけだが、料金の高さや未払い者に刑事罰が科せられることなどが問題視されている。最近になり、担当大臣が制度の廃止を示唆する発言をしており、公共放送のあり方についての議論がなされている。

◆重すぎる国民負担 いまが議論の時
 イギリスの受信料は年間159ポンド(約2万4000円)だ。物価上昇率に合わせ値上げが認められているが、今後2年間は値上げが凍結される。デジタル・文化・メディア・スポーツ相のナディーン・ドリス氏は、BBCは英文化遺産のなかでもユニークな位置を占める偉大な国家機関だとしながらも、世帯の生活費が急激に増加しているなかで、さらなる受信料負担を求めることは正当化できないと発言。料金据え置きはBBCと支払者にとって公平な解決策で、BBCは節約と効率化を図り、莫大な公的資金をユーザーのために使わなければならないとした。

 BBCによれば、今回の同相の発言は、受信料が低所得者世帯や年金生活者にとって大きな負担になっていることを理解したものだという。ツイッター上では、同相はいまがBBCのコンテンツに関し資金供給、支援、販売の新しい方法を議論する時だとも述べており、制度の廃止を示唆している。

Text by 山川 真智子