人間のような宇宙人はいるのか?「収斂進化」の実例が示す可能性
◆ランダム要素を考えると、否定的な立場も
ただし、科学者のなかには否定的な見解を示す人々もいる。英BBCが刊行するサイエンス・フォーカス誌(11月19日)によると、進化生物学の大家でありハーバード大学教授を務めていた故スティーヴン・ジェイ・グールド博士も、この説を「馬鹿げた考え」だと捉えていたようだ。地球上の生物が現在の姿を獲得した背景には、長い年月のあいだに起きたランダムな遺伝子の変異と、環境から受けたランダムな影響が存在する。そのため、もし同じ地球上で生物が進化をやり直したとしても、再び人類が誕生する確率は「途方もなく小さい」というのがグールド博士の主張だ。
この考えを裏付けるかのように、同じ地球上であっても、物理的に隔離された地域においては生物に独自の進化がみられる。IFLサイエンス誌は、「飛べないオウム、肉食性のオウム、落ち葉のなかを歩きまわって食糧をあつめるコウモリ」などがニュージーランド独自の種として進化したと例示している。ましてや地球と隔絶された惑星において、人間に似た種が存在する可能性は低いようにも思われる。
◆宇宙に収斂進化は適用できるか
とはいえ、地球上で繰り返し起きてきた収斂進化が、宇宙の別の惑星で起きないと断定されたわけではない。フューチャリズム誌は、「手短に述べるならば、収斂進化説とは進化それ自体を自然の理とみなすものであり、論理的帰結として、異なる惑星においてもここ地球と同じ形で進む可能性が高いと仮定するものだ」と述べ、違う惑星に人間と似た生物が存在する可能性を議論している。
前述のケルシェンバウム博士のほか、同じケンブリッジ大のサイモン・コンウェイ・モリス教授(古生物学、宇宙生物学)もこのような学説を支持している。モリス教授はサイエンス・フォーカス誌に対して「人間に似た何かが進化する見込みはかなり高いということは、相応の自信を持って言うことができるでしょう」と語っている。また、単一の惑星では十分な確率に至らずとも、生命の存在が議論されている惑星の数は多い。そのどこかに人間に似た生物がいる可能性は、決して低くないのかもしれない。
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