伝統的にいとこ婚の多いパキスタン、遺伝性疾患が問題に

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 文化的に近親婚が是とされているパキスタンでは、婚姻のおよそ7割が親類同士で行われている。信頼の置ける者同士で結ばれるメリットがある一方、死産と遺伝性疾患の罹患率を高める原因になっているとして、医学関係者らは喫緊の対応を叫ぶ。

◆婚姻の70%が親類間
 パキスタンは近親婚の割合が高く、同国の英字紙ニュース・インターナショナル(11月6日)が報じるところによると、全体の73%のカップルが親類同士の間で誕生している。遺伝性疾患に苦しむ人々の割合は高く、国内の有症者は1400万人から1600万人にのぼると推定されているという。

 もっともよくみられる症状のひとつに聴覚障害がある。パキスタンでは年間に誕生する新生児の2〜3%が聴覚障害をもっている。国内最大の都市カラチに位置するダウ・ヘルス・サイエンス大学の専門家は、その原因の70%が近親婚にあると指摘している。ニュース・インターナショナル紙の別の記事(11月10日)は、こうして幼児期のコミュニケーションが困難となった子供たちは、精神的な発育が遅れる場合があるとも述べている。

 近親者同士の婚姻は、イギリスのパキスタン人コミュニティでも盛んだ。パキスタン系移民の多いブラッドフォードの街では、婚姻のうち3件に2件が、祖父母が共通するいとこ、または曾祖父母が共通するはとこ同士で行われている。英デイリー・メール紙(6月2日)は、一大パキスタン人コミュニティを擁する英バーミンガムにおいて、新生児の死亡率が全国平均の2倍の水準にあると報じた。

Text by 青葉やまと