飲み物に薬物混ぜて性的暴行、英で被害続出 ドリンク・スパイキングの手口も多様化

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 イギリスのバーやナイトクラブなどで「ドリンク・スパイキング」が横行し、人々を不安に陥れている。相手が気づかないうちにドリンクに薬物などを混入し、意識あるいは身体の自由を奪う手口だ。性的暴行や窃盗などを目的とした古くからある手法だが、近年の事例は新たな様相を呈していると専門家は指摘する。

◆バーやクラブ以外でも
 ドリンク・スパイキング自体は古くから存在する手口であり、遅くとも1903年には被害が記録されている。しかし、最近はその傾向に変化が出ているようだ。英アングリア・ラスキン大学のラタ・ゴータム准教授(法科学)は学術系ニュースサイト『カンバセーション』(10月29日)への寄稿のなかで、「しかし最近、ドラッグが密かに投与されるその性質とパターンは、新たな局面を迎えている」と指摘する。スパイキングといえば以前はバーなどが舞台となっていたが、近年ではハウスパーティーというプライベートな空間で実施されるケースも目立ってきているという。

 また、アルコールを追加投入して酩酊状態に追い込む手法も問題となっている。ドラッグを使わないこの手口もドリンク・スパイキングの一種だ。北部エディンバラのスコッツマン紙は、英国民保健サービスによる調査データとして、ドラッグよりもむしろアルコールによるドリンク・スパイキングの被害が多いと紹介している。スパイキングの目的としては不同意の性交渉がよく知られているが、ほかにもLSDなどいわゆるパーティー・ドラッグを与えるケースや、意識を失った隙に窃盗に及ぶ事例なども発生している。

Text by 青葉やまと