留学先を中国から台湾へ、米ハーバード大の語学プログラム 米中対立の余波か
中国語を学ぶ学生を対象にしたハーバード大学の夏季北京留学プログラムが、台湾の台北に場所を移すことになった。同プログラムは、創設以来語学だけでなく中国の人々との交流や中国国内旅行の機会を学生たちに与えてきた。大学側は運営上の問題が原因としているが、米中対立の影響という見方も出ている。
◆歓迎されない印象 政治的影響か?
ハーバード北京アカデミーは、ハーバード大学と北京語言大学(BLCU)が共同で運営するプログラムだ。2005年の設立以来、他大学の学生も参加し、9週間にわたって中国語や中国文化を学び、中国人家庭との交流に参加してきた。2019年までで、推定1300人の学生が参加したとされる。(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、以下SCMP)
プログラム責任者、ジェニファー・L・リウ氏は、台北への変更は、受け入れ先であるBLCUの対応に好意的と思えないところがあったからだとしている。近年、プログラムが必要とする教室や寮へのアクセスが難しくなっていたという。たとえば、1つの寮で学生全員を受け入れてもらえず、グレードの異なる2つの寮に学生を分けざるを得なかったり、全員が泊まれるホテルを探さなければならなかったりしていた。提供される条件では、質の高いプログラム運営はできないと判断したとのことだ。(ハーバード大学学生新聞ハーバードクリムゾン)
例年、夏季北京留学プログラムでは、7月4日のアメリカ独立記念日に小さなパーティーを催し、学生と教員がピザを食べ国家を歌って祝っていたという。しかし、2019年に、BLCUからこのパーティーを開催しないようにと通達があり、歌やお祝いが禁じられた。リウ氏は、アメリカの教育機関に対する習近平体制下の中国政府の態度が微妙に変化したことが、歓迎されない理由ではないかと考えている。(同上)
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