抗体量がいくらあれば感染を防げるのか 仏病院が8758人調査
◆8758人を対象に10ヶ月間調査
トゥールーズ大学病院のウイルス学研究所が今回発表した研究は、同病院職員8758人を対象に、フランスで最初のロックダウンが解除された昨年6月から、デルタ株が広がる前の今年4月まで10ヶ月かけて調査されたものだ。8758人の平均年齢は40歳で、80.4%が女性だった。半数以上が2021年1月~4月15日の間に、1度あるいは2度のワクチン接種を受けており、その内訳は、26.8%がアストラ・ゼネカ製1回、19.8%がファイザー製1回、53.4%がファイザー製2回の接種だった。
調査対象は大きく2つのグループに分かれる。ひとつは、新型コロナに感染したのちワクチン接種をしたグループ(フランスでは、感染経験者はワクチン接種1回だけで接種完了とみなされる)で、もう一方は、感染経験がなくワクチン接種のみのグループだ。
◆抗体価3つのレベルとワクチン効果
同研究が明らかにした抗体価のしきい値は、下の通りだ。
・抗体価が1700 BAU/ml以上の人に、(再)感染者は出なかった。つまり感染から完全に守られる。
・抗体価が141〜1700 BAU/ml の場合は、新型コロナウイルス感染から89.3%守られる。
・抗体価が13〜141 BAU/mlの場合は、新型コロナウイルス感染から12.4%しか守られない。
この研究はまた、ワクチンの有用さも改めて明らかにした。というのも、2度のワクチン接種から1ヶ月後に抗体価が141 BAU/mlを下回る人は皆無だったのだ。このグループの大多数の抗体価は141~1700 BAU/mlで、1700 BAU/mlを上回る人も何人かいた。
ワクチンは再感染予防に関しても重要な役割をもつ。なぜなら、感染したのちワクチンを受けた人はワクチン接種1ヶ月後に最も抗体価が高く、のきなみ1700 BAU/mlを超えたのに対し、感染後ワクチンを受けていない人の79.3%は、感染から3ヶ月後の抗体価が141 BAU/mlに満たなかった(20 Minutes紙、9/22)。