ユタ州が「最も幸福な州」の理由は? ハワイ州は3位転落
◆ユタ州民が幸せな理由とは?
アメリカ50州のなかでも、ユタ州は異彩を放つ州と言っても過言ではないほど宗教色が強い。元々、同州は数あるキリスト教宗派のなかでも異端視されることが多い「モルモン教」信者が集まって作られた州であり、いまも同教徒人口が集中している。ワールドアトラスによると、同州のモルモン教徒率は州人口の67.70%と7割近い。同州選出上院議員で、2012年大統領選の共和党候補だったミット・ロムニー氏もモルモン教徒である。
では、なぜユタ州民は幸せなのだろうか。その秘密はこのランキングに隠されている。ユタ州は、3つに分かれたランキングのメイン項目である「精神的・肉体的な健康」で9位、「仕事環境」で1位、「コミュニティと環境」で1位となっている。また31個の小項目のうち、同州は「スポーツ参加率」「勤務時間が少ない」「ボランティア率」「離婚率が低い」で1位なのである。このランキングから見ると、宗教によるコミュニティ意識が強く、積極的にボランティアに参加し、仕事環境はいいがそれよりも家庭生活を大事にする……というユタ州民のイメージが見えてくる。
◆ハワイ州が3位に落ちた原因は
一方、昨年1位のハワイ州は今年3位。一応トップ3の座は守ったものの、新型コロナウイルス感染予防策の影響で、ほぼ「鎖国」状態となり、観光業界が大打撃を受けて大規模な一時解雇が行われ、いままで全米最低水準だった失業率が急上昇し、昨年の一時期には全米最高になった。観光客が少なくなったことで道路やビーチの混雑が少なくなるなど、利点と言える影響もあったものの、高い失業率や今後の展開の不透明さなどからくる経済的・精神的不安は大きく、心から幸福であるとは言えない人々も多かったはずだ。ハワイ州は同ランキングで毎年のように「精神・肉体的健康」項目で1位を守っていたのが、今年は8位に落ちてしまった(ちなみに、ハワイ州は「睡眠時間」が全米最低の50位だが、これは毎年同じなのでランキングへの影響はないと思われる)。
ユタ州は観光州ではないため、新型コロナの経済への影響はハワイ州に比べると少なかったのではないだろうか。ハワイ州が幸福な州1位の座に返り咲くためには、まずは日本人を含む観光客が島々に戻って来た後で、経済的な復興を成し遂げることが必要となりそうだ。一方で、今回のパンデミックで露呈した観光産業の脆弱さから学び、観光以外の産業を切り開いていくことも必要となるだろう。
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