難民にとって最善の国? ウガンダのオープンな受け入れ政策とは

ウガンダに暮らす南スーダンの難民(2016年11月)|EU Civil Protection and Humanitarian Aid / flickr

◆ウガンダは難民にとって最善の場所?
 ウガンダの難民受け入れの歴史は1940年代まで遡る。当時、ナチ占領下のポーランドからの難民を一時的に受け入れたとされる。その後、1959年にアフリカで最初の難民キャンプが設立された。1950年中盤では、8万人近くのスーダン難民を受け入れた。現在、ウガンダはアフリカ諸国のうち、もっとも多くの難民を受け入れる国となり、140万人のうち約90万人は南スーダンから、約43万人はコンゴ民主共和国、そして5万人はブルンジからの難民である(欧州委員会)。

 2017年、英紙ガーディアンは「ウガンダは難民にとって世界一の場所?」というタイトルの記事を公開した。当時、紛争下における南スーダンから約40万人の人々を受け入れた。カンバセーションの記事によると、2006 年難民法および2010 年難民規則により、難民に権利を与える法的フレームワークが存在している。2006年難民法の第5章では、難民の権利と義務に関するさまざまな条項が記載されている。たとえば、ウガンダ国内における権利としては、所有の権利、資産譲渡の権利、教育の権利、農業・産業・ハンドクラフト・通商に携わる権利や起業の権利、専門分野における職能を実行する権利、就業の権利などが明記されている。さらに、ウガンダ国外への移動(渡航)の権利も与えられている。さらに、子供と女性の権利に関しても特筆されている。また、難民はウガンダ国民と同様の社会保障を受けることができる。医療へのアクセスや、小学校の学費無料などといったベネフィットがある。住む場所に関しても、いわゆる難民キャンプに押し込まれるわけではない。

 しかし、懸念すべき点もある。世界銀行の調査・分析による人的資本の活用度合いを評価する指標、ヒューマン・キャピタル・インデックス(Human Capital Index:HCI)では、ウガンダは173ヶ国中154位と、下位に位置している。35年間政権を掌握しているムセベニ大統領が再選した今年初めの選挙においては、インターネットの閉鎖や対抗馬に対する暴力などといった、権利の侵害があった。さらに、難民受け入れにかかる予算の確保にも苦戦しているようだ。カンバセーションによると、これまでの難民受け入れ政策で、援助資金を獲得してきた実績があるものの、2020-2021年度のウガンダ難民対応計画(Uganda Refugee Response Plan)の予算の22%しか調達できていないという状況だという。

 2000名のアフガニスタン難民の受け入れを表明したウガンダ。8月末には第一陣の51名がエンテベ空港に到着した。課題はありつつも、引き続きウガンダは難民に対してオープンな政策を継続していくことが予測される。難民を「難民」とは扱わずに、住む場所の自由や権利を付与するウガンダの難民政策に、他国も学べることがありそうだ。

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Text by MAKI NAKATA