米南部州で「マスク戦争」 義務化を禁止する知事、それに背く学校
新型コロナウイルスのデルタ株が世界中で猛威を振るっている。ワクチン接種率が全人口の51%を超えたアメリカでも同様で、1万人台まで落ちていた1日の新規感染者数が7月初旬から再び増加傾向に転じ、米疾病対策センター(CDC)によると、8月18日の新規感染者数は17万1537人まで増加。最高29万人まで増加した今年1月のレベルに近づくのも時間の問題と思われる。
そんななかで、アメリカでは8月上旬から中旬にかけ、公立校の新学年が始まった。ハワイ州に住む筆者の娘はすでにワクチン接種済みで、毎日マスクを着用して近くの高校に通っている。娘によると、通う高校の生徒の約9割が2回(18歳以下は現在ファイザーのみ)のワクチン接種を完了しているというが、週1回程度の頻度で校長から「生徒に感染者が発生した」というメールが来る。約2000人前後いる生徒のうち、感染者はいまのところ5人程度出ている。すでにワクチン接種が許可されている高校生でも感染者が出ているということは、12歳以下の子供たちが通う小学校と中学校(一部12歳以上)ではさらに多くの感染者が出ていることだろう。
感染力の強いデルタ株が侵入してきたせいか、ハワイ州ではここ2週間ほど2020年~2021年初頭よりはるかに多い新規感染者が発生している。同州保健局によると、過去2週間の1日平均は8月26日現在で711人とかなり多い数字だ。筆者の住むオアフ島では市中感染ではなく、家族間やパーティーでの集まりなどのコミュニティ感染が多く報告されている。現在はレストランやジム、集会などの人数制限が行われているが、今後この規制がさらに厳しくなる可能性が高い。それでもハワイ州では、学校や屋内(公共の場)でのマスク着用令やソーシャルディスタンス、集会人数の規制などの安全対策が広く実施されており、それに反発する人々はほぼ見られないのがせめてもの救いだ。
◆マスク着用義務禁止 フロリダで学区が抵抗
一方、フロリダ州やテキサス州などの南部州では、共和党知事がマスク着用やワクチン接種を政治問題化して敵視し、感染防止対策が徹底していないため、デルタ株が制御不能になり拡大し続けているのが現状だ。
親トランプ派のロン・デサンティス氏が州知事を務めるフロリダ州では、学校を含むあらゆる場所においてマスク着用令を義務化することが知事令により禁じられている。その結果、同州の新規感染者数はうなぎ上りで、CDCによると、同州では8月24日、2万6385人の新規感染者数を記録。
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