イスラエルで感染再拡大している理由 ブースターだけでは解決できないと指摘も

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 イスラエルは昨年12月からファイザー社のワクチン接種を開始し、12歳以上の78%がすでに2回接種済みだ。6月までにほとんどの規制も解除されていたが、ここへきて感染が再拡大している。政府は高齢者を中心に3回目の接種に踏み切ったが、解決策にはならないという指摘もある。

◆思わぬ感染激増 コロナに勝ったはずが……
 ジョンズ・ホプキンス大学発表のデータによると、8月23日のイスラエルの1日の感染者数は8586人となり、ピークだった今年冬の1万1934人に迫る勢いだ。過去2週間で2倍近くになっており、7月から約10倍に増えている。6月には死者は5人だったが、8月はこれまでに少なくとも248人が亡くなっている。(米公共ラジオNPR

 感染が再拡大した理由はいくつか考えられるが、そのうちの一つに接種開始が早かったことがある。ファイザー社のデータでは、ワクチンの効果は2回目接種から6ヶ月で低下することが示されている。そしてワクチンの効果が落ち始めたタイミングで、より感染力の強いデルタ株が国内に流入した。夏に休暇を利用して海外に出かけた人々が持ち帰ったものだと指摘されている。(同)

 サイエンス誌は、現在の感染がワクチン効果の低下によるものなのか、デルタ株の感染力の強さによるものなのかは不明だと述べる。ただイスラエルの場合は、感染者の半分以上が2回接種を終えた人だという。つまりかなりの数のブレイクスルー感染が起こっていることを意味する。8月15日時点では、重症または重篤な入院患者は514人だったが、そのうち59%が2回接種済みだったということだ。もっともNPRによればそのほとんどは60歳以上で、少なくとも5ヶ月前に2回目の接種を終えていたという。

Text by 山川 真智子