河南省水害の被害全容が明らかになる日は来るのか?

河南省新郷市(7月23日)|Chinatopix via AP

◆人的災害部分の指摘
 出されなかった水害の警告、封鎖されなかった地下鉄、地下駐車場、地下トンネル。これらは天災に、人災も加わっていた可能性を示唆する。大紀元(7/23)は、たった5分でトンネルを満たした洪水は、本当に集中豪雨だけが原因なのかと疑問を投げかける記述をしている。同紙によれば、鄭州西部のいくつかの貯水池は、20日の朝にはすでに氾濫していたという公式報告があるというのだ。その事実はもちろん国民のあずかり知らぬものであった。希望の声(7/24)の報道も同じ方向を指している。それによれば、当局は、常庄貯水池を守るために、7月20日午前10時半から放流を開始し、それが鄭州に前例のない洪水を引き起こしたという。だが、公式メディアは、同貯水池の放流は20日の夕刻から始まったと記述する。

 ところで、中国は2015年、治水を目的とする「スポンジ都市」プロジェクトに着手している。スポンジ都市においては、より多くの雨水を安全に保持かつ排水できるという内容だ。実は、鄭州はそのプロジェクト対象となった最初の30都市の一つ(ロイター、7/23)で、500億元(約8504億円)をかけ、その整備がなされたばかりだった。英国BBCは、今回の洪水がこの「スポンジ都市の神話を打ち砕いた」とレポートしたが、これに対し、中国の国営メディアは直ちに専門家らの言葉を借りて激しく反論している(グローバル・タイムズ、7/23)。

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Text by 冠ゆき