河南省水害の被害全容が明らかになる日は来るのか?
◆ネットに飛び交う憶測の声
だが、この数字を、現実から大きく乖離したものと捉える人は多く、ネットにはさまざまな見方があがっている。たとえば、トンネルの規模から計算して、1000台から4800台の車がトンネル内にいたという声。また水面に出ていた車の中にすでに遺体が十数体見えていたことから、死者は数百人、あるいは数千人に至るという声。(希望の声、7/24)あるいは「澎湃新聞は22日、京広路トンネル内で『何千台もの車が水没』と報道しながら、しばらくのちには『数百台』と書き直し、さらに最後は数字自体を消した」と指摘する投稿。また、トンネルから逃げ出ることに成功した人物の「トンネルの出口は封鎖されていたが、入り口は開いていた」という証言と、その後共産党の圧力で削除されたという説明。トンネルで見つかった遺体約6300体を運ぶ牽引車を運転したという運転手は、これがすべての遺体ではないと語ったが、その後、職を追われ、携帯電話も警察に取り上げられたというニュースなど、枚挙にいとまがない。
もちろん、これらの見解の裏付けは取れていない。取りようにも、誰も現場に近づくことすらできない。だが、鄭州とその周辺では、ネット上で行方不明者を尋ねるメッセージが増えており、あるサイトにはすでに130人の不明者情報が寄せられているという。(希望の声、7/25)いうまでもなく当局発表の不明者5人よりはるかに多い数字だ。
◆メディアへの規制と圧力
大紀元が指摘するように、中国当局は、公式メディアのみに「ポジティブなエネルギー」の「権威ある情報」を報道することを許可し、そうでないニュースを報道させていない。そのため、中国国内のメディア報道はすでに、人民解放軍がどれだけ身を砕いて人民を救助し、鄭州市がいかにして危機を乗り越えたかといったニュースに移行している。
では、中国共産党フィルターを通さない報道を心掛ける外国メディアはどうかというと、記者らは取材に対する妨害を受けている。たとえば、BBCの北京特派員ロビン・ブラント記者は、洪水で死者を出した鄭州の地下鉄について、規制と検査が必要だという内容のレポートを23日発表した。すると、その後、中国版ツイッター微博上で、「事実をひどく歪めている」と激しく非難され、「見かけたらすぐ警察に通報するように」という投稿まで現れた。翌日には、ブラント氏と間違えられたドイツ人記者が群衆に取り囲まれて怒声を浴び、携帯電話を奪われかける事件まで起こった。·群衆によるハラスメントについては、LAタイムズ、アルジャジーラ、AP通信の特派員もツイッターなどで言及している。(香港フリープレス、7/26)