米でワクチン未接種者のパンデミック デルタ株感染者が急増

Nathan Papes / The Springfield News-Leader via AP

 感染力が非常に強いデルタ株は、アメリカ上陸後、瞬く間に主要株となった。NBCニュースに報道によると、同国内では7月17日時点、新規感染者の83%がデルタ株に感染しているという。6月19日時点では30%だったことから、いかに早くほかの株からの置き換わりが進んでいるかがわかる。ハフポストによると、現在デルタ株流行により感染者が最も増加しているのは、感染予防策が緩く、また観光が盛んな州でもあるフロリダ州で、国内の新規感染者中2割を占めているという。

◆共和党支持者にはびこるワクチン誤情報
 アメリカではいまも、FOXニュースなどの右派メディアやソーシャルメディアなどで、新型コロナウイルスやワクチンに関する誤情報がはびこっている。トランプ氏自身が新型コロナに懐疑的で、科学を否定するような発言を繰り返してきたことからか、同氏を支持する人々はトランプ氏の発言や右派メディアの「報道」を妄信する場合も多い。そんな誤情報を振りまいた結果として、トランプ氏自身の支持者が感染し、重症化したり死亡したりするケースが多いのは皮肉としか言いようがない。

 CDCによると、アメリカではいま、新型コロナ死者の99.5%がワクチン未接種の人々だという。アメリカでは12歳以上ならば誰でも、いつでもワクチン接種が自由にできる今、接種をしない選択も個人の自由である。しかし、選択の自由はいつでも結果に対する責任と隣り合わせだ。ここまで政府や医療機関に接種を推奨されても、自分の選択の結果として感染した場合は、今後「自己責任」として冷ややかに扱われてしまう可能性もありそうだ。デルタ株の感染拡大が今後も続けば、自主隔離や施設使用の可否、移動の制限など、ワクチン未接種者のみが不便を強いられる場面が増えるかもしれない。

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Text by 川島 実佳