疑問視され始めた中国製ワクチン 相次ぐ接種者の感染・死亡例

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◆当初から低かった効果 各国で高止まりする感染者数
 当初から、中国のシノファームとシノバック両ワクチンの効果は50%~79%にとどまると言われており、90%以上の効果があるとされるファイザーやモデルナのワクチンと比べ、見劣りがしていた。それでもなお、中東やアフリカ、南米各国は、迅速に供給された中国製ワクチンを受け入れ、接種を展開した。ところがいま、中国製ワクチンを用いた国民の接種率が高いセーシェルやバーレーン、チリ、モンゴルで、最近の感染者数が世界ワースト10にランクインするといった事態になっていると、ニューヨーク・タイムズが報じた。国民の45%がファイザーやモデルナのワクチンを接種したアメリカでは、この6ヶ月の間に感染者数が94%減少したのとは対照的だ。

 さらにインドネシアでは、シノバック製のワクチン接種を完了していた医療従事者が、少なくとも20名死亡(ヒンドゥスタン・タイムズ)、ほかにも接種を終えた後に感染する人が増加中と報じられ、中国製ワクチンの効果への疑いが高まっている。

 そんななか、UAEやバーレーン、南米のチリでは5月から、3回目の接種を呼びかけ始めている(アル・ジャジーラ)。3度にわたる接種の安全性や、猛威を振るう変異株への効果など、いまだ不透明な部分が多い。それでも異例の対応をせざるを得なかったのは、同国でもワクチンを接種した後に新型コロナウイルスに感染するケースや、重症化する人たちが周辺で増加し始め、国民の間に不安が広がっているからだ。

Text by 佐藤さとみ