安全保障の視点から新型コロナパンデミックを考える
東京五輪の開催が迫っている。もうここまで来れば開催されるのだろう。今年に入って東京五輪の中止や延期を求める声が半数を超えるほどに増加したが、最新の世論調査ではほぼ五分五分になったと言われる。しかし、政府の対応をめぐっては国民の不満は根強く、菅政権の支持率はますます低下し、おそらく五輪後には政権交代をめぐる動きが加速しそうな予感だ。
昨年以降の政府の対応をめぐっては、「感染が拡大すれば規制を強化、落ち着けば規制を緩和」の繰り返しで、依然として試行錯誤が続いている。しかし、これは今日の我々が直面する初めての感染危機であり、誰が首相だろうがそこまで成果は変わらないようにも思う。
◆日本は台湾や韓国のようにできなかったのか
中国の感染者数の推移や発生源特定、北朝鮮の感染状況など依然として不明な点があるが、日本は周辺諸国と比較しても状況は良くない。最近、台湾で感染者数が増加したが、これまで台湾はコロナ優等生と言われるほど感染者を抑えてきた。また、韓国でも依然として感染は続いているが、日本ほど深刻な状況ではない。
台湾や韓国は重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)を経験しているから感染対策では日本より先進国と言われればそれまでだが、そこには別の理由もあると筆者は考える。それは、「安全保障の視点から新型コロナパンデミックを考える」ということだ。
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