洪水期入りの中国、97の河川で警戒水位超え 一部住宅地は冠水
昨年三峡ダムの危険的な高水位が関心事となった中国で、今年も再び大規模な洪水の発生が懸念されている。すでに夏季の洪水シーズンに入っており、現地報道によると警戒水位に達した河川の数は少なくともで97にも至るという。一部住宅地は冠水し、住民1000名あまりが避難した。
◆中国南部各地で河川氾濫のおそれ
中国政府水利省は5月、中国の南部地域で豪雨が続く予報を発表し、洪水期入りを宣言した。中南部湖南省では同省最大の河川である湘江が警戒水位となったのをはじめ、国土の東部でも4つの主要な河川で氾濫のおそれがある。5月の豪雨は例年どおりのサイクルではあるものの、共産党機関紙の環球時報(6月1日)は「しかしながら依然として状況がさらに悪化する可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
豪雨続きの南部地域では、一部河川が観測史上最高水位を記録した。同紙の5月27日版の情報によると、同日時点で中国全土では合計97の河川で警戒水位を上回ったという。これは昨年の同時期よりも1割ほど多い数字だ。中国の洪水対応・災害低減研究所の元所長は、「昨年の中国は記録的豪雨だったため、今年は同様となる可能性は低い」としながらも、温暖化の影響により先が見通しにくい状況にあるとも語っている。南部の広東省では一晩での降水量が476ミリに達するなど、予断を許さない状況だ。仮に排水がないとすれば、一晩で水位が成人の膝の高さに達する雨量だ。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(以下「SCMP」)は、同紙ウェブサイト上の動画で湖南省永州市の状況を伝えている。5月25日時点で市内の一部が冠水し、住宅地一帯が淀んだ水に覆われている様子が確認できる。消防が用意した簡素なボートなどにより、およそ1100名の住民が避難を余儀なくされた。
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