インド変異株の感染急増 イギリスが再び変異株リスク地域に

Peter Byrne / PA via AP

◆ワクチンの効果は?
 一度目のワクチン接種を終えた人がすでに57%もいるイギリスでなぜ感染が止まらないのか、既存のワクチンはインド変異株には効かないのか、と疑問に思う向きも多いだろう。

 幸いなことに、ワクチンはインド変異株にも有効だ。イギリス公衆衛生サービス(PHE)の研究によれば、アストラゼネカ社ワクチン2回の接種による対インド変異株の効果は60%。ファイザー社のワクチンなら88%と、どちらも十分高いことが判明している。ただし、1回しか接種を受けていない場合の効力は、アストラゼネカもファイザーも33%と低い。(テレグラフ、5/26)

◆2回目のワクチン接種が遅すぎた?
 実はイギリスは昨年12月30日という早い時期から、ファイザー、アストラゼネカともに1回目と2回目のワクチン接種の間隔を3ヶ月まであけることを認めてきた。これは、できるだけ多くの住民に、少なくとも1回ワクチンを打つためにとられた策だった。(フランス・アンフォ、1/2)

 そのため、たとえば4月1日の時点では、1回目のワクチンを済ませた人の割合が47%いたのに対し、2回目も済ませた人の割合は7.4%と非常に少なかった。

 今回の新たなインド変異株危機に際し、ジョンソン首相は「50歳以上と重症化リスクのある人に関しては、(1回目と2回目の接種の間隔を)12週間ではなく8週間に縮める」と5月半ばに発表した。しかし、ほかの国が3~4週間の間隔で接種していることを考えればまだ長い。(フランス・アンフォ、5/26)それでも、25日の時点で、ワクチンのフル接種を終えた人の割合は35.4%とかなりアップしてきた。

Text by 冠ゆき