インド変異株の感染急増 イギリスが再び変異株リスク地域に

Peter Byrne / PA via AP

◆制限緩和最終段階まであと一歩
 イギリスは長らく変異株B.1.1.7に悩まされてきた。B.1.1.7は、イギリスで最初に確認されたため、世界ではイギリス変異株、イギリス国内ではケント変異株と呼ばれているものだ。感染力が強いイギリス変異株が広まったため、同国では年末から年頭にかけては感染者が急増した。しかし、EU諸国よりも早い時期に大車輪でワクチンキャンペーンを進め、その後感染者数は激減。ロックダウンの段階的解除も進み、6月21日には解除最終段階を迎える予定だ。

 インド変異株の問題は、そういう状況にあるイギリスに生まれた新たな頭痛の種といえる。

◆インド変異株の何が問題なのか?
 数だけ見れば、インド変異株(B.1.617.2)の例はいまのところそれほど多いわけではなく、5月20日の時点でイギリス国内に3424人の感染者を数えるのみだ。とはいえ、警戒すべきはその増加スピードだ。前週の5月12日には1313人だったのだから、一週間の増加率は160%以上だ。(ガーディアン紙、5/20)

 その感染力は、ケント変異株(B.1.1.7)よりも高いとされている。同国の緊急事態のための科学諮問グループ(SAGE)は12日、「B.1.617.2(インド変異株)は、B.1.1.7(イギリス変異株)より50%感染力が高い可能性がある」と記している(フランス・アンフォ、5/26)。

 その感染スピードのあまりの速さに専門家らは、「インド変異株と、ワクチン接種のどちらがより早く進むかの競争」とみなしている(テレグラフ、5/26)。

Text by 冠ゆき