日本が参加しない「消えた子供の日」国際デー
◆実子誘拐とは?
日本では馴染みの薄い概念だが、実子誘拐とは、文字通り、自分の子供を誘拐(拉致)するケースを指す。一番わかりやすいのが、別離状態にあるカップル間で生ずる問題だ。離婚カップルのケースで説明してみよう。欧州では、大抵の場合、離婚カップルの子供たちは、両親の間を行ったり来たりする生活をしている。週日と週末、あるいは、通学期間中と休暇期間中などのように父親と母親の話し合いで、監護期間をシェアしているわけだ。そういう状況にあって、他方の親に子供を任せるのを拒否したり、自分の監護担当期間を過ぎても子供を留め置いたり、あるいは他方の親に知らせず住所変更を行った場合は「実子誘拐」とみなされる。また、別離前のカップルであっても、他方の親の承諾なく子供を連れ去れば、それは「実子誘拐」となる。
実子誘拐の刑罰は厳しく、フランスでは、5日までの誘拐で1年以下の拘禁刑または1万5000ユーロ(約200万円)以下の罰金、5日を超える実子誘拐および外国への拉致の場合、3年以下の拘禁刑または4万5000ユーロ(約600万円)以下の罰金に処せられる可能性がある。
◆ヨーロッパには子供の失踪無料ホットラインも
フランスの例を続けると、2019年フランス国内で届け出のあった子供の行方不明者は5万1287人。そのうち4万9846件が家出、918件が不穏な失踪、523件が親による誘拐であった。幸い同国では、全体の「3分の1は72時間以内に、もう3分の1も失踪から3ヶ月以内に見つかる。(中略)しかし、残りの3分の1、つまり1万7000人ほどは完全に姿を消してしまう」という。(ウェスト・フランス紙)
ちなみに、ヨーロッパには年中24時間機能する無料相談ダイヤル116 000があり、子供の失踪に関する相談を受け付け、「残された家族への社会的心理的サポート」を行っている(同上)。