なぜロシアでワクチン接種が進まないのか

Alexander Polegenko / AP Photo

 ロシアが開発した新型コロナワクチン「スプートニクV」は、イギリスの著名な医学誌「ランセット」で91.6%の効果があることが示された。すでに各国から大量の注文が入っているが、ロシア国内では接種があまり進んでいない。過去に多くの犠牲者を出し、現在も感染が続くのになぜ接種が遅れているのか。

◆ご褒美に金券も。それでも接種は遅れ気味
 APによれば、ロシアでは6月中旬までに1億4600万人の人口のうち3000万人以上、8月までに約6900万人にワクチンを接種するという目標を掲げている。接種キャンペーンは12月から始まっているが、4月中旬時点で少なくとも1回の接種を受けたのは、モスクワでは人口の約8%に当たる100万人強だった。ロシア全体では、4月27日時点で少なくとも1回の接種を受けたのは1210万人で、人口の8%に過ぎない。これは、アメリカの43%、EUの27%に比べかなり低い数字になっている。6月中旬の目標を達成するためには、いまの倍近くのペースでの接種が必要だという。

 モスクワでは18歳以上であればだれでも、200以上の診療所、ショッピングモール、フードコート、病院、さらには劇場でも接種が受けられようになっている。接種喚起のため、60歳以上の接種希望者には金券を配る作戦にも乗り出した。ほかの地域では現金、劇場での割引券などを配る試みも行われている。それにもかかわらず接種は遅々して進んでいない。(同)

Text by 山川 真智子