5000人テストコンサートも実施 イベント再開に備えるスペイン、オランダ
◆各種イベントのテスト開催を重ねたオランダ
オランダもイベント開催のテストを繰り返している国だ。3月20、21日の週末には、アムステルダム近郊でミュージックフェスティバルが開催され、PCR検査で陰性の参加者約1500人が集った。これは、同国で行われた7回目のテストコンサートに当たる。今回は参加者を3つのグループに分け、トラッカーを装着してもらい、動きや人との接触を分析した。ここでも、マスク着用が義務とされたが、報道によれば、なかにはコンサートに夢中になって、マスクを外す参加者も出た。(クーリエ・アンテルナシオナル、3/22)
被験者である若い世代をモルモット扱いするのか、という批判の声もないではないが、感染症専門医ヴォス教授は「参加者は皆、リスクがあることを承知している。また現在出ているデータによれば、(コンサート参加による)リスクは、それほど高いわけではない」とコメントする(同)。
コンサート以外にも、オランダは、サッカーの試合や劇など8種類のテストイベントを行っている。レ・ゼコー紙(4/11)によると、いずれもPCR検査の陰性者のみが被験者となったが、「1万人の参加者のうち後から感染が判明したのは16人だけ」という結果だった。これらの試験や分析をもとに同国では、今月に入ってから美術館やコンサート会場、劇場、動物園、スタジアムの一部がテスト的に営業を再開している。
◆さらなるテストコンサートは必要か?
ベルギーやフランスも5月にはテストコンサートを予定している。ベルギーは5月7日、440席のコンサートホールで220人の参加者を対象とする。参加者はコンサートの前後、合計3回の感染テストを受ける必要があるほか、コンサート中はグループに分けられ、グループ外の人とはフィジカルディスタンスを取ることが要求される。(RTC、4/28)
テストコンサートについて以前から検討を行ってきたフランスも、最終的には5月29日にパリで5000人規模のものを開くと決めた。他国と同様に、事前の感染テスト、コンサート中のマスク着用が義務となる。だが、感染症専門医ブランシエ氏などは、「欧州の別の国やアメリカで、すでにテストコンサートは約10回開かれており、いずれも感染源とはなっていない」のだから、いまさら新たなテストは不要と発言する(20 minutes、4/28)。いまは「テストコンサートを計画する段階ではなく、営業再開の手順を認定する段階」だというのがその主張だ。
非常事態宣言下におけるイベントは「原則として無観客で開催するよう要請を行う」と定める日本では、テストコンサートの開催はほとんど聞こえてこないが、海外で行われた貴重なテストコンサートの結果をぜひ参考にしたい。
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