感染爆発のインド、富裕層は国外脱出
◆ドバイに殺到する富裕層
25日から10日間、インドからの入国を禁止したアラブ首長国連邦は、インド人が人口の3分の1を占める国だ。数でいえば、3300万人が同国に居住しており、その大半はドバイに住んでいる。そのため、インドとアラブ首長国連邦をつなぐ空の便は、世界で最も利用客の多い路線のひとつだ。そういう背景もあり、アラブ首長国連邦が25日から10日間の欠航を発表すると、インドでは国外脱出を図る人が殺到し、航空券の値段がたちまち高騰した。たとえば、ボンベイとドバイを結ぶ便は、普段の10倍の値段にあたる8万ルピー(約12万円)まで上昇した。(20 minutes紙、4/23)
プライベートジェット機の予約も相次いだ。エア・チャーターサービス・インディア社は24日、一日でドバイ行きを12便組んだがどれも満席になったと明かし、エンスロール・アヴィエーション社は、一日でドバイ行きについて80件近い問い合わせを受けたと話す。同社によれば、ムンバイとドバイ間を結ぶプライベートジェット機のレンタル料は、13席の機材が3万8000ドル(約414万円)、6席の機材が3万1000ドル(約337万円)で、一人あたり31万~56万円かかる計算だ。(同)
ところで、いまとなってははるか昔に感じられるが、パンデミックを理由にロックダウンしたアラブ首長国連邦から、脱出帰国を希望するインド人労働者の苦労が話題に上ったのは、ちょうど1年前のことだ。仕事をなくし、収入減を絶たれた労働者にとっては、インド政府が手配する帰国便だけが頼りだった。
帰国を切望しながらもその術を持たなかった労働者たち。その祖国から、1年後、争うように脱出を図る富裕層。パンデミック下においても、地獄の沙汰は金次第なのだろうか?
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