春休み後に感染者増加 アメリカが第4波の危機に陥った理由

ニューヨーク市のユニオンスクエアの買い物客(3月26日)|Mary Altaffer / AP Photo

 1月20日のバイデン大統領就任後、アメリカではワクチン投与が急ピッチで進められている。バイデン氏の当初の目標は「就任100日で1億本」だったが、米疾病対策センター(CDC)によると、就任77日目の4月7日現在、全米で1億7147万6655本のワクチン投与が完了している。うち6442万2618人はすでに2度の接種を終えているという。これは、概算で言うとアメリカの人口の約20%に相当する数だ。
 
◆共和党州が次々とマスク着用令撤回
 ワクチン接種が順調に進み、感染拡大がピークに達した今年1月から新規感染者も順調に減る日々が続いて、いよいよアメリカでも感染者が大幅に減少するかと思われた。しかし気のゆるみからか、3月中旬~下旬の春休みを境にしてまた急激に感染者数が増加し、あわや第4波かという騒ぎになった。

 今回の感染拡大に先立ち、アメリカでは3月初旬頃から共和党知事がいる州でマスク着用令を撤回するケースが目立ち始めていた。ニューヨーク・タイムズの統計によると、4月7日現在、オハイオ州やアラバマ州など一部を除き、共和党知事を擁する大多数の州ではマスク着用令を撤回している。全民主党知事州でいまもマスク着用令が徹底されていることと比較すると、アメリカ国内でマスクをはじめとする新型コロナ感染拡大予防対策が政治的に分断されていることは一目瞭然だ。

 3月の時点でワクチン投与が急ピッチで進み、感染拡大のスピードが鈍ってきたこともあるだろう。しかし、3月2日に真っ先にマスク着用令撤回を公表したテキサス州では、その約2週間前の2月、1週間以上続いた大寒波による停電や断水で多くの死者が出るなど大きな被害を被っており、同州のグレッグ・アボット知事(共和党)がこの大災害から州民の目を逸らすためにマスク着用令撤回を表明したのではないか、と勘繰る説もあった。

Text by 川島 実佳