中国の徹底した新型コロナの水際対策

Andy Wong / AP Photo

◆隔離施設は感染者病棟並みの制限
 中国に入国した乗客らは、入国審査前に再び今度は両鼻のPCR検査を受けなければならない。その後、隔離される宿泊施設へとバスで移送させられる。隔離中は、一切部屋から出ることはできないし、隔離中にも1度あるいは複数回のPCR検査が義務付けられている。筆者の知り合いが隔離されたホテルでは、トイレの水洗使用も禁止された。排泄物中のウイルスを警戒するための措置で、消毒剤とバケツが配られ、水を流す必要があるたびに、バケツの水に規定量の消毒剤を溶かしたものを、手動で流さなければならなかったという。これは、ここまでの感染検査がすべて陰性だった乗客たちの待遇だ。

 隔離期間は都市によって異なる。たとえば、現在、上海は基本的には2週間だが、北京は14+7+7と28日間だ。14+7+7とは、14日間指定の場所での集中隔離期間を終えたのち、「7日間、自宅隔離または集中隔離を継続して実施し、その期間が終了した後、さらに7日間の健康モニタリングを行う」という意味だ。健康モニタリングの期間中は「各種の集団活動に参加せず、会食もせず、集まりもせず、かつ要求に応じて職場や社区などに健康状況を報告すること」を課せられる。ただし、通勤などは禁じられない(在中国日本大使館、1/20)。

◆北京に入るには4週間がかり
 北京は首都だけあり、中国の中でもとくに入るのが厳しい区域だ。これは外国人も中国人も同じである。一時期はいかなる国際航空便も北京に直接到着することは禁じられていたほどで、現在も北京に至る道は容易ではない。北京以外の場所から中国に入国した者は、「入境した日から満21日となって初めて北京に来ることができ、北京に入った後に7日間の健康モニタリングを補足する。21日間に満たない場合は北京に入った後に、7日間の自宅隔離または集中隔離を行い、その後に7日間の健康モニタリングを補足する」と定められている(在中国日本大使館、1/20)。

 このように入国条件の厳しい中国だが、ワクチン接種が普及すれば、いくらかは免除されることになるのだろうか? 答えは否である。中国国家衛生健康委員会の米鋒報道官は10日、「海外からの渡航者は、Covid-19のワクチンを受けていても、中国本土入境の際に隔離が必要」と発言した。ワクチンで抗体ができにくい人などもいるため感染源となりえるという見解を示した形だ(GICexpat、2/10)。

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Text by 冠ゆき