中国の徹底した新型コロナの水際対策

Andy Wong / AP Photo

◆ダブル陰性証明が必要に
 居留許可を持つ外国人就労者の中国再入国が可能になったのは、2020年9月28日だ。これに先立ち、7月20日からは、中国行き航空便の乗客は全員、PCR検査の陰性証明書を求められることが決まっており、当初は搭乗5日以内の感染テストとされていたが、9月25日には搭乗3日以内に変更された。

 さらに、11月8日には、搭乗2日以内のPCR検査陰性証明に加えて、血清IgM抗体検査陰性証明も必要となった。いま現在も、このダブル陰性証明書がなくては、搭乗手続き自体ができないという仕組みが続いている。また12月1日からは、このダブル陰性証明を取得の上、中国指定サイトからQRコード発行を大使館に申請することが義務付けられた。大使館からグリーンのQRコードを取得したあとは、その有効期間中に搭乗しなくてはならないという決まりだ。

 先日筆者はこれらの手続きを手伝う機会があったが、なかなか神経を使うものだった。ダブル検査は、中国政府指定の機関で行わなければならないのだが、施設によって、予約の要不要、結果の受け取りに必要な時間が異なるので、搭乗予定機の出発時間から逆算し、早すぎでも遅すぎでもない時間に検査を受けられるよう調整しなければならない。ちなみに費用は4万2600円で、もちろん100%自費だ。

◆陽性者判明なら航空会社に重いペナルティ
 空港の搭乗手続き窓口ではすべての申告内容に虚偽がないという誓約書などに、ひとりひとりサインを求めるなど、航空会社の負担も大きいように見えた。中国は、昨年3月29日からは航空会社の国際便を「各社、中国との航空路線を1路線、週1往復まで」に大きく制限している。しかも、万が一搭乗者に陽性者が確認されたときの航空会社への措置は厳しく、当航空路は2週間運航禁止になる。1月21日は、エールフランス航空のパリ発天津行き空路の搭乗者に陽性患者が5名見つかり、同社の同航空路は1月25日から2週間運航禁止の憂き目を見た(フィガロ紙、1/21)。航空会社に非があってもなくても、中国は重いペナルティをすべて航空会社に課す姿勢だ。

Text by 冠ゆき