バングラデシュ、ロヒンギャ難民を島に移送 昨年に続き3度目 国連・人権団体が懸念

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 バングラデシュ政府は1月29日、ロヒンギャ難民をベンガル湾に浮かぶ離島へと移送した。同国では昨年も2度にわたってロヒンギャ難民が新規開発された同島に送られており、人権団体から中止を要請する声が上がっていた。

 政府は難民移住計画の意図について「より良い生活条件を提供するため」と主張しているものの、今後も100万人を超える難民をミャンマーへ送還する試みは継続するという。

 バングラデシュの海軍を指揮するモザンメル・ホック氏は29日、1778名の難民がコックスバザール地区にある難民キャンプを後にし、チッタゴン南東の港湾都市から4隻の海軍艦艇でブハシャンチャール島に向けて出発したと発表した。

 同氏は記者団に対し、「12月以降すでに約4000人の難民が島に送られているが、収容可能人数の10万人に達するまでこのプロセスは継続する」と述べている。

 ホック氏は、「難民らは島で好待遇を受けており、牛や家禽を飼育することで収入を得ることも可能であるほか、手工芸品の製造にも携わることができる。彼らは島に到着後、医師による診察を受け、食料と宿泊施設も適切に提供される」と話している。

 当局側は難民たちによる経済貢献を望んでいるものの、最終的な目標はミャンマーへの本国送還なのだという。

 こうした難民移送について人権団体からは批判の声が上がる一方、シェイク・ハシナ政権は「難民は政府の管理下で、自発的に島に移住している」と繰り返している。

 当局は島への移住者選出は難民自身の希望に基づいており、強制ではないと主張している。しかし複数の人権団体および活動家グループは、「一部の難民が本土から34 km離れた島への移住を余儀なくされた」と反論している。

 移住先のブハシャンチャール島は20年前に出現したばかりの新島で、これまで人は住んでいなかった。定期的に季節風が運ぶ大雨に見舞われていたが、バングラデシュ海軍が1億1200万ドル以上の費用をかけて洪水壁や家屋、病院、モスクを建設してきた。

 島の施設は10万人を収容できるよう設計されている。しかしそれも、母国ミャンマーでの激しい迫害から逃れ、現在はコックスバザール地区で不衛生な難民キャンプに押し込まれている100万人のロヒンギャイスラム教徒のほんの一部だ。

 難民の移住計画が最初に提案されたのは、2015年のこと。以来、国際援助機関は移転に反対し続けている。同島では季節風による大雨や洪水によって数千人の命が危険にさらされる恐れがあるためだ。しかしバングラデシュ政府は、「人権団体と国連は同国の善意を理解すべきだ」と主張している。

 国連はまた、難民の移住について「自由および情報に基づいた決定」が認められていないのでは、という懸念を表明している。国際的な人権保護団体のアムネスティ・インターナショナルおよびヒューマン・ライツ・ウォッチは同国政府に対し、計画の中止を要請している。

JULHAS ALAM Associated Press
Translated by isshi via Conyac

Text by AP