ポルトガルで急激な感染拡大 その要因は?

Armando Franca / AP Photo

◆第2波時の規制の緩さ
 これまでの感染者数と死者数の推移をみると、ポルトガルでは被害の少なかった春の第1波のあと、秋までは落ち着いた状況が続いた。秋口の第2波もほかの国より遅れて始まった感がある。それでも、10月半ばには目に見えるようになっていた感染拡大を受け、11月9日非常事態を宣言し国土の約70%に夜間外出禁止令を施行した。とはいえ、同国の夜間外出禁止令は、23時~5時、週末は1時~5時という他国と比べると非常に緩いもので、レストランやバーも営業を続けていた。その後、ハイリスク指定を受けた地域では飲食店の営業時間は夜22時半までの規制対象になったが、1月15日のロックダウンまではレストランやバーは開店し続けていたのだ。

 このようにもともと緩めだった第2波時の規制だが、クリスマスシーズンにはさらにこれが緩和された。クリスマスの夜間外出禁止の時間帯は2時から5時までに短縮され、レストランもクリスマスは1時まで営業可能とされた。また、他国が定めたような、家で集まる人数の制限も行われなかった(20 minutes、1/29)。

◆観光優先が災い?
 ただし、感染拡大は12月19日ごろからすでに始まっており、ジュネーブ大学の公衆衛生学専門のフラオー教授は、クリスマスが感染拡大の引き金となったというよりも、むしろクリスマス休暇そのものの影響の方が大きいと考えている(20 minutes)。

 ヨーロッパでは、フランスのように第2波早々にレストランやバーを閉鎖した国が多くあった。そのため、レストランもバーも営業しているポルトガルは、ヨーロッパ人の冬の休暇先として魅力的に映ったろうし、観光業がGDPの8.7%を占めるポルトガルも半ばそれを期待していた点があるのかもしれない(rtbf、11/16)。

 しかも、この冬は新型コロナの感染拡大を恐れてスキー場の営業を禁止するフランスのような国もあったため、南部で休暇を過ごそうと移動した人が少なくなかったと見られる。

Text by 冠ゆき