英国、南ア、ブラジルの変異株 感染力、ワクチン効果など

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◆ブラジル変異株
 ブラジル変異株のうち、1月2日にブラジルから羽田に到着した渡航者4名から検出されたものは、「B1.1.248系統に属し、スパイクタンパクに12か所の変異を認める」(NIID国立感染症研究所、1/10)。これは、ブラジルのアマゾネス州で見つかった変異株P.1に近似しており、いずれも、N501Y、E484K、K417Tの変異を持つ。先に見てきたように、N501Yはイギリス変異株や南アフリカ変異株と、E484Kは南アフリカ変異株と共通する変異である。

 獲得した免疫の効果を減少させると見られるE484Kの特徴は、ブラジル変異株の周辺でも感じることができる。ブラジル・アマゾネス州の州都マナウスは、2020年春の第1波を激しく浴びたことからすでに集団免疫を獲得していると考えられていた。ところが、ここにきて再び感染が拡大し、住民10万人あたりの死亡者数は142人から187人へと、国の平均数の2倍に増加したのだ。このため、研究者らはE484Kとの関連を疑っている。また、昨年5月にCovid-19を患ったブラジル人女性が10月にE484K変異を持つ変異株に再感染し、前回よりも重い症状を呈したケースが1月6日に報告されており、これもE484Kの特徴の証左なのではないかと考えられている(20 minutes紙、1/19)。

 もちろん、WHOのマイク・ライアン氏が1月14日に発言したように、まだ不明なことも多いいまの時点で、「変異のせいだけにするのは簡単すぎる」(同)ことかもしれない。しかし、変異株にさらなる注意が必要だということだけは明らかだといえよう。

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Text by 冠ゆき