ドイツ、高性能マスクの着用義務化 マスクの素材と機能をおさらい
◆マスクのフィルター性能が悪いと逆効果にも
素材別のマスクの効果については、これまでも研究がたびたびされてきた。たとえば、アメリカのデューク大学が8月に発表した実験結果によれば、最も飛沫の拡散を防ぐのはN95マスク(FFP2マスク相当)で、サージカルマスクや布マスクがそれに続くものという結果だった。理研計算科学研究センターによるマスクの素材の違いについての説明も、基本的にはほぼ同じ傾向を示している。
さらに「流体力学」誌に2020年12月15日に発表された研究などは、性能の悪いマスクの装着は逆効果となることを示している。同研究によれば、「マスクをつけると、空気がマスクの表面全体から低速で口と鼻に入る。そのため、周囲のエアロゾルが鼻に吸収されやすくなる」。このとき、マスクに65%を超える十分なフィルター効果があれば問題はないが、それより効果が低いマスクであったり、効果が劣化している場合は、「周囲のエアロゾルが堆積する可能性が高まるため、かえって悪い影響を及ぼすことがある」というのだ。
◆状況と体調で使い分けたいマスクの種類
日本では、第1波時のマスク不足をきっかけに布マスクが増えた。とくに、筆者がよく目にするように感じるのがポリウレタン素材のマスクだ。ポリウレタン素材のマスクは不織布や布と比べて通気性が良いため好んで用いる人が多いと思われる。しかし、理研計算科学研究センターも言及するように、マスクの通気性と性能とはほぼ反比例の関係にある。つまり息苦しくないマスクは、性能が低いのだ。実際、ポリウレタン素材マスクの性能は、不織布や布マスクと比べて劣ることを同センターは明らかにしている。
逆に、FFP2マスクは性能が高い分、かなり息苦しい。着用義務を決めたドイツ・バイエルン州も「(FFP2マスクの)着用は最長で75分を推奨」と明言しているほどだ(ランテルノート、1/18)。
これらを考え合わせると、理研計算科学研究センターの坪倉教授が推奨するように、その日の体調や、赴く場所、状況に応じて着用マスクを選ぶのが、最も理に適い、健康を守る方法だと思われる。おそらく、すでに多くの日本人はそうやってマスクを使い分けていることだろうが、他国の新たな動きを機会に、いま一度、マスクの性能の違いを確認しておきたい。
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